慢慢走 Walking Slowly

好きなことを、好きなように、ゆっくり綴る。

「火山灰地」のこと

10年前、当時は開館前のKAATで勤務していました。

ある日の残業後に職場の先輩方にお誘いいただき、近くのお店で遅い晩御飯をご一緒させていただいたのですが、演劇について語る先輩方のあまりの熱さに強い刺激とショックを受けたことは今でも忘れられません。

自分も何らかの形でずっと演劇に関わり続けていて、演劇に対する情熱は持っている方だと思っていたけれど、先輩方の熱量とは比べ物にならず、自分はまだまだだなぁ、と思い知らされたのでした。KAATはそういう熱い人たちの集まりで、本当に刺激的な職場でした。

そのときにぼんやり思っていたのが「10年後くらいに、私は彼らのような熱量を持って演劇について語れるだろうか。そんな自信ないな」ということでした。

あれから10年が経ち、ハッキリ言ってあの頃の先輩方のような熱い語りは、やっぱり私にはできません。でも、あの頃は呆然とその話を聞いて感心するだけだったけれど、今ならばその話に寄り添い、乗っかることができる、くらいにはなれたかなと思います。

あのときの話の中で一番ショッキングだったのは、中学生のときに久保栄の「火山灰地」を舞台で見て、よくわからなかったけど戯曲を購入して読んだらめちゃくちゃ面白くて、それから演劇にはまった、という某氏の話。

先日たまたま久しぶりに「火山灰地」というワードを聞く機会があり、そんな10年前の出来事を思い出していたのでした。

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久保栄/火山灰地

10年前に向き合わずにそのままにしてしまった「火山灰地」と、今度は向き合ってみたいと思います。