加藤健一事務所『Taking Sides ~それぞれの旋律~』
先日、出演者インタビュー記事を書かせていただいた、加藤健一事務所『Taking Sides ~それぞれの旋律~』を鑑賞してきました。
加藤健一事務所『Taking Sides ~それぞれの旋律~』観劇。インタビューで加藤健一さんが「シリアスとコメディは、やっている側としてはあまり変わらない」というお話しをしてくださったけれど、その意味がわかった気がした。
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年5月16日
加藤健一事務所『Taking Sides 』ところどころ客席から小さな笑いが起きていて、確かに見る側には滑稽に映るけれど、演者側というかその登場人物自身は必死だったり、加藤さん言うところの「追い詰められている人」だったりする。
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年5月16日
加藤健一事務所『Taking Sides 』物語の基本軸は、連合軍のアーノルド少佐(加藤健一)と、神と呼ばれた指揮者フルトヴェングラー(小林勝也)。正義とは何か、真実とは何か、芸術とはどうあるべきか、権力と向き合うとは等々、考えさせられる。きっと、これからもずっと、考え続けなければならないこと。
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年5月16日
加藤健一事務所『Taking Sides 』ベートーヴェンの「悲愴」が残す余韻が、胸にじんわりと響く。ラストの勝也さん=フルトヴェングラーのたたずまいにグッときた。
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年5月16日
優れた芸術家であるということが免罪符になってはいけない、と思いました。もちろん逆に、その功績や、救われた人がたくさんいるという点は帳消しにはなりません。多くの人が、フルトヴェングラーに救われた側に立って考えてしまいますが、アーノルド少佐はその反対、フルトヴェングラーが加担したかもしれないナチスによって命を落とした人々の側に立っている。自分がどちら側に立って物事を見ているのか、それを冷静に見極めて判断することは大切なことですね。
以下、ネタバレかもしれません。
ベートーヴェンは大好きな音楽家で、ラストに流れる「悲愴」第二楽章のメロディーは深く心に響きました。フルトヴェングラーはベートーヴェンの曲を得意とする指揮者でした。芸術を重んじるドイツだからこそ生まれた天才指揮者が、ドイツであるがゆえに政治的なことに巻き込まれてしまったことは、悲しいことです。
フルトヴェングラーを演じる小林勝也さんのさすがの存在感。今井朋彦さんのよどみのないセリフと演技も見事でした。そして、加藤健一さん。この舞台はやはり加藤さん演じるアーノルド少佐が中心であって、加藤さんの舞台上に力強く生きている役者魂があってこそ、だと感じました。
このような良質な舞台を上演してくださる加藤健一事務所、演劇界において本当に重要な役割を果たしてくださっていると思います。その活動に敬意と感謝をおくります。