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《舞台》新国立劇場『どん底』

新国立劇場小劇場にて、ことぜんシリーズ第一弾『どん底』を鑑賞してきました。

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意表を突く舞台美術、現代日本で演じられる劇中劇に仕立てた五戸真理枝さん演出の攻める姿勢がなかなか面白かったです。どん底で生きる人々の叫びが、現代人の叫びと重なって見え、最近起きている様々な問題に思いを馳せながら見ることができました。

役者さんは、見ごたえのある演技を見せてくださる方が多かったです。高橋紀恵さんのお芝居にはいつも強く引き付けられるものがあって、今回も圧倒的な存在感と説得力で、腹黒いのに純粋さもある美しいヴァシリーサを見せてくれました。蜷川組常連の廣田高志さんのあの安定感と懐の深さと愛らしさも、相変わらず素晴らしかったです。立川三貴さんと山野史人さん、久々にベテランお二人の重厚な芝居を見ることが出来たのも至福でした。やっぱり積み重ねてきたものを背負っている人独特の空気感ってあるなぁ、などと思いながら堪能させていただきました。若手では釆澤靖起さんが非常にキレのあるいい芝居していて、以前から注目していましたが今後ますます期待大の役者さんだと確信しました。ことぜんシリーズ第三弾『タージマハルの衛兵』で成河さんとの二人芝居に抜擢された、同じ文学座の亀田佳明さんに続く文学座若手の成長株だとにらんでいます。

ことぜんシリーズは全作品見に行く予定なので、あと2作品もとても楽しみです。

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