KAAT神奈川芸術劇場『ゴドーを待ちながら』
KAAT神奈川芸術劇場にて『ゴドーを待ちながら』2バージョン上演を鑑賞してきました。
KAATで『ゴドーを待ちながら』令和ver.鑑賞。余白の多い脚本を生かした演出で、現在の日本の様々な状況を色濃く反映させ想起させる。生者なのか死者なのか、東京なのか三陸なのか、それとも他のどこかなのか。ミニマムにもマキシマムにも捉えられる物語の普遍性が伝わってきた。
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月17日
『ゴドーを待ちながら』令和ver.
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月17日
渡部豪太さんを舞台で拝見するのは初めてだったけど、期待以上に素晴らしかった!可愛らしさや柔らかさを持ちながら、でもすごく芯のある骨太な芝居だった。茂山千之丞さんのさすが狂言師という明るさと軽やかさも心地よかった。
『ゴドーを待ちながら』令和ver.
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月17日
永井秀樹さんのポゾー、可笑しさと恐ろしさがにじむアクティブさがハマってて面白かった。昭和・平成ver.では猪股俊明さんがポゾーで、永井さんはラッキーを演じるので、どんな違いが出るのか見比べるのが楽しみ。
『ゴドーを待ちながら』令和ver.
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月17日
少年役の木村風太さん、食えなさを感じさせるいかにも現代っ子な感じがよかった。これもまた昭和・平成ver.では変えてくるんだろうなぁ。今回のゴドーKAAT上演は、両ver.を見てこそ完成形になるような気がしてきた。
『ゴドーを待ちながら』昭和・平成ver.
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月19日
若い演者がゴドーをやることでその意義を考えさせられる、現代性に満ちた令和ver.と対照的に、シンプルな舞台でベテラン俳優がより強い喜劇性を持って演じることで積み重ねてきた歴史を感じさせた。2バージョン合わせて一つの大作に成っている。
『ゴドーを待ちながら』昭和・平成ver.
— Ayako Hisada (@ayalaugh) 2019年6月19日
大高洋夫さん(令和ver.のアレや『朝日―』のアレをやってくれる大サービスつき)と小宮孝泰さん、それぞれのこれまでの芸歴を滲ませることで(小宮さんの「お前のいた団体と俺のいた団体~」というセリフが堪らない)、ゴゴとジジのこれまでに思いを馳せる。
昭和・平成ver.と令和ver.で、ポゾーとラッキーの配役を入れ替えたのも面白い演出だった。かつてポゾーだった人間が、ラッキーになってしまう。かつてラッキーだった人間が、ポゾーになってしまう。人間の立場なんて流動的なもので、いつどう変わるかわからない、いつ足元をすくわれるか、逆にいつ高みに上れるか、先のことなど誰にもわからない。そんなメタファーを感じられた。
昭和・平成ver.の少年の衣裳が、陸上競技のスターターだったのはどういう意図が込められていたのだろう。“東京オリンピック”が一つキーワードになっているということなのかな。そして2度目の登場のときはジャケットが赤から黒に変わっていたのも気になる。
公演は6/23(日)まで。