《舞台》「年中無休!」
先日、シアター1010にて東宝製作による舞台「年中無休!」を見てきました。
「年中無休!」は1990年代に大人気だった男6人の劇団カクスコの代表作。私もカクスコの舞台が大好きでした。しかし2002年に解散。メンバーの中には俳優をやめてしまった方もいらしたので、カクスコを再び見ることはもうないのかな……と思っていたら、昨年3月に井之上隆志さんが亡くなられて、これで本当にもう二度とカクスコを見ることはできないんだ……と寂しく悲しくなったものでした。
そのカクスコの「年中無休!」が今年上演される、というニュースには、ただただ驚きでした。主演はジャニーズの「ふぉ~ゆ~」という4人組。不勉強のため、彼らのことは全く知識がなく、ジャニーズだしきっとチケット取るの厳しいんだろうな、ということと、若い男の子たちにあのカクスコの芝居の雰囲気が出せるのか……と不安を感じてしまい、その時点で観劇は諦め気味だったのですが、しかし、演出がウォーリー木下さん、そして大高洋夫さんと八十田勇一さんもご出演されると聞いて、これは絶対に見に行こう!と心に決めての観劇となったのです。
それで、観劇後にツイッターに感想を連投したら、どうやらふぉ~ゆ~ファンの方にたくさんリツイートやいいねをしてもらいまして、ありがたくも恐縮しきりです。
シアター1010で「年中無休!」鑑賞。ウォーリー木下さんの演出がカクスコ愛に溢れすぎていて、最初から涙腺が緩んでしまった。もう二度と見ることのできないカクスコの舞台、でも目の前でカクスコの作品が演じられて、でもそこにいるのはカクスコのメンバーではなくて。様々な感情が湧き上がってきた。
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
ウォーリー木下の手によってコンテンポラリーに蘇ったカクスコの名作。名作だって、過去にしがみついたままでは骨董品になってしまう。生きている人間が、芝居を続けている人間が、前に前にと進めていくのだ。
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
ふぉ〜ゆ〜の皆さんの若さあふれるきらめきが、作品に新しい息吹をもたらしていて、カクスコの不在を痛感して一抹の寂しさを感じつつ、才能溢れる姿にその寂しさを大いに慰められる思いでした。ふざけた名前のグループだなって思っててゴメンナサイ。素敵な舞台をありがとうございました。
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
そして、大高洋夫さん、八十田勇一さん。お二人の姿にカクスコを重ねてしまい、もうひたすら懐かしさがこみ上げてしまいました。お二人がこの舞台を支え、守ってくださったからこその、素晴らしい舞台でした。感謝しかない。
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
アカペラやってくれたの本当にうれしかった。「A Lover's Question」は涙腺崩壊しそうだった。カクスコが歌っている姿とオーバーラップしてしまって。帰宅したら久々にカクスコのCD聞いて浸ろう……。
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
しかし、岡林信康とか、We shall over comeだとか、フォークネタをそのままぶっこんできてたの勇気あるな、と思ってしまった(笑)「若い子は知らないんだろうなぁ」と思いながらもフォークソングを歌わずにいられないカクスコ世代のオジサンの悲哀のようで愛おしい(笑)
— hisada⇔string (@ayalaugh) 2018年8月2日
この中でも特に、ふぉ~ゆ~について言及したツイートにたくさん反応をいただきまして。しかし私調子こいて「ふざけた名前のグループ」とか書いてしまっていて、ファンの皆さま本当に失礼いたしました。でも、この舞台を見るまでそう思っていたのは事実です(まだ言うか)
でも、さすがトップアイドルといいますか、キラキラとしたオーラを感じましたし、歌も踊りも素晴らしく、演技も好感が持てるものでした。彼らの舞台ならばまた見たいな、と思わせてくれるに十分魅力を感じました。
カクスコが醸し出していた、あのなんともいえないユルい空気感、とぼけたおかしみ、オジサンたちの悲哀、そんなものが若い彼らに出せるのだろうか?やはり、カクスコとは別物として見なければならないのだろうか。そんなことを思っていました。
まず劇場に入ると出迎えてくれた、柴田隆弘さんによる舞台美術。MONOや維新派など、関西の劇団の舞台美術を多く手がけており、そのリアルでありながらどこか幻想的であったり懐かしさを感じさせる世界観のセットには毎回魅了されます。今回も、カクスコの舞台がそのまま蘇ったかのようなそのセットを目にして、懐かしさのあまりそれだけで涙ぐんでしまいました。そして、客入れ中に流れる曲の数々がいかにもな70年代ロックばかりで、そこからもカクスコの雰囲気を感じられて、開演前から胸いっぱいになってしまいました。
そしてひとたび舞台の幕が上がると、そこには不思議なくらいカクスコの世界観がしっかりと漂っていて、それはウォーリー木下さんのカクスコへの愛だったり、出演者たちのカクスコへのリスペクトだったりという思いがこの舞台の土台になっているからだと強く感じました。
ふぉ~ゆ~の若さは、ツイッターにも書きましたが新たな息吹をもたらしてくれていて、あらためてこの作品の懐の深さを感じることができました。この作品の新たな魅力を見せてくれた彼らの表現者としてのしなやかさは、本当に素晴らしいと思いました。
さて、演出のウォーリー木下さんについて。
実は過去にウォーリーさんには2度ほど取材をしているのですが、当時は「劇団☆世界一団」(現・sunday)として活動されていました。最近では様々な舞台の演出家としてご活躍ですね。久しぶりに拝見したウォーリーさんの演出は、根っこの部分というか、基本的なスタンスは昔から全く変わっていなくて、でもずっと洗練されたものになっていました。
かつて、その取材記事でこんなことを書きました。
「役者同士が通わせる空気や雰囲気で、様々なことを伝える舞台にしたい」
これは、ウォーリーさんの当時のお言葉です。まさに今回の舞台も、そのお言葉通りの舞台だったと思います。
これからのウォーリーさんのますますのご活躍、楽しみです。またぜひ、演出舞台を拝見したいと思います。
この舞台、本当に見に行ってよかったです。
カクスコを懐かしく思い出すことができ、ふぉ~ゆ~という新しい才能と出会うことができ、大好きな大高さんと八十田さんの演技とかわいらしさを堪能でき、久しぶりにウォーリーさんの演出を楽しむことができ、本当に充実した観劇体験でした!
またぜひこのメンバーで、カクスコの別の作品にも挑戦してもらいたいなぁ。
公式ページ→ シアター1010『年中無休!』
Clyde McPhatter -- A Lover's Question
劇中でアカペラで歌われた「A Lover's Question」。大好きな曲なので、聞けて嬉しかった。