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《映画》バウムちゃんねる映画祭

バウムアンドクーヘンpresents
バウムちゃんねる映画祭
2018.5.5~10 池袋シネマ・ロサcinema rosa.net

ゴールデンウイーク終盤の5/5(土)、池袋シネマ・ロサのレイトショーで「バウムちゃんねる映画祭」を見てきました。
「バウムちゃんねる映画祭」とは、芸能プロダクション「バウムアンドクーヘン」に所属する俳優さんのプロモーション映像として、5分程度の短編動画をホームページにアップしており、それを一挙上映するという面白い試み。
私、こちらの事務所の社長さんとは知り合いなのですが、映画に思い入れのある方ならではの企画だな、とまず感心、そして実際に上映作品を見てそのクオリティの高さに更に感心させていただきました。

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それでは上映順に詳細および感想を。

  1. 『サングラス』(『ナニカの断片』(上田慎一郎監督)より)
    永井秀樹さん演じる主人公が、公園で出くわす不思議な出来事を描いた短編オムニバスの1本目。映画祭のスタートが、まず観客をナンセンスで煙に巻くこの作品であることに「やるなぁ」とニヤニヤしてしまった。眼鏡太郎さんのシュールな芝居と、永井秀樹さんの表情だけの芝居によって生み出される笑いと呆気が楽しい。
  2. 『あおい』(加藤大志監督)
    うざカワイイダメ男を演じる高木公佑さん、無意識的ナチュラル小悪魔を演じる葛堂里奈さん、イヤミなデキる上司を演じる森啓一朗さん。いずれもキャラがぴったりハマっていてリアリティがあった。さすが俳優さんのプロモーション用の映像なだけある。
  3. 『アナザーアイ』(新谷寛行監督)
    バッティングセンターでボールを打ちながら会話をする二人の会社員。日常のありふれた風景の中に突如勃発するドラマ。その挿入のされ方が自然で、ああこんな小さなドラマが世の中にはたくさん起こっているんだろうなぁ、と思う。傍から見れば、そのドラマの内容は本当にくだらないのだけど、本人たちにとっては真剣そのもので。そんなバカ哀しい会社員を、眼鏡太郎さんと照井健仁さんが熱演するものだから、面白さ倍増。
  4. 『さよならシンデレラ』(加藤綾佳監督)
    葛堂里奈さんと大田恵里圭さんによる、かつて恋人同士であったらしい二人のお話。映像として切り取られた6分強の中で、二人のこれまでと今とこれからをしっかりと見せた、とても説得力のある作品だった。二人の未来に幸あれ……と祈らずにいられない。
  5. 『真夜中はいつだって平等で脆く、』(山田佳奈監督)
    これまた切ないお話。母親を亡くした青年を演じる照井健仁さんの、家族の前では気を張って平気そうな顔をしているけれど、一人になって恋人?との電話では号泣してしまう姿が胸を締め付ける。
  6. 『すでにないている』(岡太地監督)
    寝っ転がってひたすらイチャイチャするカップル(照井健仁さん、大田恵里圭さん)のところに、寝っ転がりながら乱入する男(森啓一朗さん)。どうやら森さんと大田さんが本当はカップルで、照井さんが彼女を奪いに来た様子?カメラの前でキレながらうごめく森さんが面白すぎた(笑)
  7. 『炊飯器』(『ナニカの断片』(上田慎一郎監督)より)
    短編オムニバス2本目。これもひたすら笑いと呆気。炊飯器のことが気になって、カップルの痴話ケンカどころじゃない!
  8. 『THE FILM IS MINE』(平波亘監督)
    映画の撮影日の朝、監督が現れずに混乱する現場。慌てふためくばかりの助監督、ひたすら我慢する主演女優、キレる主演女優のマネージャー、それらを冷ややかに見つめるスタッフたち。そして結末は、助監督の行動に「えっ」、主演女優の行動に「えっ」、ダメ押しで監督の行動に「ええっ」とビックリ3連発でした。意表を突く展開がテンポよく描かれていて面白かったです。
  9. 『ハッピーハッピーサタデー』(佐藤快磨監督)
    これまた意外な展開にビックリ。前半の重く不穏な空気から一転、急に爽やか青春物語風になるのが「なんだこりゃー」と笑ってしまいました。ハッピーエンド……なのか?(笑)
  10. 『茶のこころ』(福岡利武監督)
    脚本は東京タンバリンの高井浩子さん。お茶の先生のお弟子さん役の3人(永井秀樹さん、森啓一朗さん、杉山ひこひこさん)のやりとりがひたすら面白い。そして、高木公佑さんのバカ息子っぷりがかわいくて、俳優さんたちの魅力のぎゅっと詰まった一作でした。
  11. 『躾』(内田伸輝監督)
    森啓一朗さんと大田恵里圭さん演じる夫婦の会話から、徐々に明らかになる事実。森さんの冷徹で怖い演技、大田さんの怯える演技、真に迫っていて見ながら背筋がゾクッとしてしまった。
  12. 『ガゼルがパインツ』(『ナニカの断片』(上田慎一郎監督)より)
    短編オムニバス3本目。ガゼルがパインツって何?何なの?と主演の永井秀樹さんと同じ気持ちになって、気になって気になってしょうがなかった(笑)この『ナニカの断片』シリーズ好きだなぁ。作品を増やしていつか『ナニカの断片』映画祭をやって欲しい。
  13. 『呪ってあげるにゃよ』(川原康臣監督)
    一番わけのわからなかった作品!(笑)なんだこの呪われ方は(笑)杉山ひこひこさんのかわいいオジサンっぷりが堪能できた。
  14. 『ペイル・ブルー・ドット』(小出豊監督)
    すれ違う二人がどうなってしまうのか、ハラハラドキドキしながらストーリーに引き込まれてしまった。高木公佑さんと照井健仁さんの自然体の演技が本当にすてき。
  15. 『逃げ去る愛』(万田邦敏監督)
    演劇の舞台を見ているような作品だった。流れるようなせりふ、流れるような動き、流れるような映像、すべてが音楽のように美しかった。

どれもそれぞれに面白かったですが、特に心に残ったのは『ナニカの断片』シリーズと、『ペイル・ブルー・ドット』でした。
今回の映画祭をきっかけに、気になる俳優さんが増えたし、気になる監督さんも増えました。彼らの今後の作品にも注目したいな、と思います。
そしてまたいつかぜひ『バウムちゃんねる映画祭2』をやってください!