《舞台》「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」
「幻に心のそぞろ狂おしのわれら将門」
作:清水邦夫 演出:蜷川幸雄
出演:堤真一/木村佳乃/段田安則/中嶋朋子/高橋洋/田山涼成/沢竜二/松下砂稚子/ほか
2005年2月5日~2月28日 @Bunkamuraシアターコクーン
まず、脚本がすごくよかった。
将門という史実に基づいた人物をベースに、壮大な雰囲気を演出しつつ、人間の心理を巧みに描いていた。
セリフが胸にささる。愛は、人に自信と残酷を与える。ううん、深い。
やっぱり私は、人間の愚かさや醜さを、愛情をもって優しく描いている本が好きなんだと思う。
誰もが持っていて、隠しながら生きている部分。でも、そんな部分こそが「人間らしさ」であり、愛すべき部分なんじゃないか、といつも思うのだ。
愛されることから逃げたり、愛されないことに怒ったり、
愛することを放棄したり、 愛しているからこそ攻撃したり。
人間の抱く感情、殊更「愛」というものは複雑で、
もっとも人間の愚かさが出てしまうものなのかもしれない。
役者も皆さんさすが。
狂気を演じる堤さんのしなやかさ。凛とした強さの木村さん。愛と冷酷の狭間で苦悩を抱える心理を見事に表現した段田さん。獣のような激しさを見せる中嶋さん。若さできらきら輝く高橋さん。
皆さんそれぞれに魅力的だった。